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循環器 体験談 2026-05-29

PQがだんだん伸びて、ストンと落ちる。ウェンケバッハにヒヤッとした夜

#房室ブロック#ウェンケバッハ#モニター心電図#不整脈

PQがだんだん伸びて、ある日ふっと消える。モニターでP波のあとのQRSがじわじわ遅れていって、最後にストンと1個落ちる。

新人のころ、「えっ今、心臓サボった!?」と一瞬ヒヤッとした波形がこれです。夜勤のモニターで見つけて、ひとりで画面を巻き戻して何度も見返しました。

正体はウェンケバッハ

これ、実はウェンケバッハ(モビッツⅠ型房室ブロック)という不整脈です。心房から心室へ電気を中継する房室結節が少しずつ疲れていって、伝えるのがだんだん遅れ(PQ延長)、限界で1回だけ伝え損ねる(QRS脱落)。そしてまた最初からやり直す。この「じわじわ遅れて、落ちて、リセット」を周期的に繰り返します。

で、房室ブロックという名前の響きに反して、この型はブロックの中では「わりとお行儀のいいタイプ」なんです。落ちる前にPQ延長という予告をくれるあたり、律儀ですらあります。

「お行儀がいい」で終わらせないための見方

とはいえ、モニターの前で「ウェンケバッハだから大丈夫」と自己完結するのは違います。私たち看護師がやることは、はっきりしています。

まず、患者さんを見に行く。めまいやふらつき、失神、血圧の低下といった症状を伴っていないか。波形が穏やかでも、症状があるなら話は別です。

次に、記録を残して報告する。落ちた瞬間の波形をプリントして(記録に残して)、医師に見てもらう。房室ブロックには型がいくつかあって、なかには予告なしに突然落ちる、はるかに危険なタイプもあります。似たように「QRSが落ちる」波形でも、型の判別と方針の判断は医師の仕事。私たちはその判別材料になる波形を、確実に残す係です。

ヒヤッとした自分を、笑わなくていい

新人のころの私のように、この波形で心拍数を数え直したり、電極を貼り替えに走ったりした人、たぶん結構いると思います。恥ずかしい思い出として封印しがちですが、私はあれでいいと思っています。

「見慣れない波形にヒヤッとして、確かめに行く」。その反射だけは、何年目になっても錆びさせたくないんです。ウェンケバッハの名前を覚えた今でも、ストンと落ちるあの瞬間には、ちゃんと少しだけヒヤッとします。

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参考文献

  • 循環器・救急看護領域の標準的教科書における房室ブロック(モビッツⅠ型/ウェンケバッハ型)の記載
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