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脳神経 体験談 2026-06-17

「いつからですか」に答えられない脳梗塞——MRIが読む"時計"の話

#脳梗塞#起床時発症#tPA#MRI

「いつからですか」に、答えられない脳梗塞があります。

朝起きたら、ろれつが回らない。手に力が入らない。でも本人もご家族も、それがいつ始まったのかわからない。眠っている間に起きた、いわゆる起床時発症です。

時刻がわからないと、治療の入口に立てなかった

脳梗塞のtPA(血栓を溶かす点滴)は、原則「発症から4.5時間以内」とわかっている人にしか使えません。夜中のどこかで発症したのか、起きる直前だったのか。それが言えない患者さんは、実際にはまだ間に合う時間だったとしても、証明できない。だから昔は、時刻不明というだけで治療の入口にすら立てませんでした。

寝ている間に発症するかどうかなんて、本人にはどうしようもないのに。ずっと理不尽だと思っていた部分です。

MRIで"時計"を読む

でも今は、MRIである"時計"を読みます。

脳梗塞は、MRIの撮り方(DWIとFLAIRという2種類の画像)によって、変化が写り始めるタイミングが違います。発症してすぐ写るものと、時間が経ってから写ってくるもの。片方にはっきり写っているのに、もう片方にまだ写っていなければ、「この梗塞は起きてから間もない」と推定できる。発症の瞬間を誰も見ていなくても、脳そのものが経過時間を教えてくれるわけです。

もちろん、これで治療に進めるかどうかの判断は医師と施設の体制によります。ただ、「時刻不明=門前払い」の時代ではなくなった。ここは知っておいてほしいところです。

看護師が聞くのは「最後に普段どおりだったのはいつか」

発症時刻がわからなくても、聞けることがあります。「最後に、いつもどおりの様子を見たのはいつですか」。

寝る前に普通に会話していた。夜中にトイレに起きたときは普段どおりだった。ご家族のそんな何気ない記憶が、治療の選択肢を広げることがあります。だから私たちは、玄関先の付き添いの方にもしつこく聞きます。覚えていたら、どうか教えてください。

そして、朝起きて呂律が回らない・手に力が入らないとき。「いつからかわからないから、もう手遅れだ」と諦めて様子を見るのが、いちばんもったいない選択です。時刻がわからなくても、道はあります。すぐ救急へ。

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参考文献

  • 脳卒中診療の標準的教科書における、起床時発症脳梗塞とMRIによる発症時間推定の記載
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