危険な失神の語呂合わせ「HEARTS」。失神の患者さんを見たら、この6つが除外されるまでは「大丈夫」と考えない。致死的な心血管性失神を見逃さないための合言葉です。
HEARTS(ハーツ)の6つ
- H(Heart attack):心筋梗塞
- E(Embolism):肺血栓塞栓症
- A(Aortic):大動脈解離、大動脈弁狭窄
- R(Rhythm):徐脈、房室ブロック
- T(Tachycardia):VTなどの頻脈
- S(SAH):くも膜下出血
並べてみると分かるとおり、どれも「次の一撃」があり得る病気ばかりです。失神そのものは治まっていても、原因が残っていれば、次は失神で済まないかもしれない。だからこの6つは、疑って、探して、除外するところまでがセットになります。
最後の「S」が、いちばん引っかけ問題
個人的に、この語呂で秀逸だと思うのは最後のSです。くも膜下出血は脳の病気なので、「失神の原因」として心臓系と並べて思い浮かべにくい。しかも心電図変化を伴うことがあるので、モニターだけ見ていると「心臓のイベントかな」と誤解しやすいんです。
失神のあとに頭痛を訴えていないか、意識の戻り方はすっきりしているか。心電図と一緒に、頭側のサインにも目を配る理由がここにあります。
看護師にとってのHEARTSの使い方
診断をつけるのも、帰宅していいと決めるのも、医師の仕事です。じゃあ看護師がこの語呂を覚える意味は何かというと、「まだ引っかかっている項目があるうちは、気を抜かない」ためだと思っています。
モニターを外すタイミング、トイレ歩行をどうするか、ご家族への声のかけ方。HEARTSのどれかが除外しきれていない患者さんなら、そのどれもが慎重になります。そして帰宅の話が出る前に、「そういえば倒れたあと頭痛を言っていました」「一瞬、脈が飛んでいた気がします」と伝えられるかどうか。除外の材料を集めて医師に渡すのは、ベッドサイドにいる私たちにしかできない仕事です。
ケロッとしている失神の患者さんほど、頭の中でこの6文字を一周させる。それだけで、見る目が変わります。
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参考文献
- 救急医学領域で用いられる失神の鑑別の語呂合わせ「HEARTS」(致死的失神の除外項目)