← 看おじの知識ノート
中毒・薬 体験談 2026-05-13

放置カレーは「再加熱すれば大丈夫」ではない——ウェルシュ菌の話

#食中毒#ウェルシュ菌#カレー#再加熱

梅雨の時期の「冷蔵庫に入れず放置したカレー」、食べないほうがいいかもしれません。

「火を通せば大丈夫」というのは、大きな間違いです。この時期、ひと晩置いた鍋を翌日また温め直して食べる――その安心感が、じつは落とし穴になることがあります。

煮込んでも生き残る菌がいる

食中毒の原因菌にはいろいろありますが、カレーやシチュー、煮物で問題になりやすいのがウェルシュ菌です。

この菌は、熱に強い殻(芽胞)を作るのが特徴です。ぐつぐつ煮込んでも、その殻の中でしぶとく生き残る。そして鍋がゆっくり冷めていくあいだ、ちょうどいい温度帯で一気に増えてしまいます。だから、翌日いくら再加熱しても、増えた菌やその影響までは防げないことがある。「火を通したから安全」が通用しない相手なんです。

バーベキューの鶏肉で怖いカンピロバクターとは、まったく別の菌。あちらは加熱不十分で当たるタイプですが、こちらは「一度しっかり煮込んだのに、置き方でやられる」タイプ。同じ食中毒でも、気をつけるポイントが違います。

防ぐコツは「置き方」にある

ウェルシュ菌は、増える前提での付き合い方が大事です。

  • 常温放置は絶対にNG。「あとで食べるから鍋のまま」がいちばん危ない
  • 食べきれない分は小分けにして、粗熱が取れたらすぐ冷蔵庫へ
  • 少しでも「ん?」と思ったら、もったいなくても捨てる

大きな鍋のまま置いておくと、中心がなかなか冷えず、菌にとって好都合な時間が長く続きます。小分けにするのは、その「ぬるい時間」を短くするためです。

胃袋のほうが、カレーより高い

もし食べてしまって、下痢や腹痛が続く、水分がとれない、ぐったりする――そんなときは我慢せず受診してください。どこまで様子を見ていいか、治療が必要かの線引きは医師の判断です。

あなたの胃袋は、数百円のカレーよりずっと価値があります。迷ったら、鍋のほうをあきらめてください。

---

参考文献

  • 食品衛生・食中毒領域におけるウェルシュ菌(Clostridium perfringens)に関する標準的な記載
看おじのThreadsを見る