低カリウム(K)血症。「いくら補充しても数値が上がらない……」
結論から言います。マグネシウム(Mg)を測ってください。臨床で意外と見落とされる「難治性低K血症」の正体は、これのことが多いんです。
新人のころの私は、Kの値とKの補充のことしか頭にありませんでした。再検して、まだ低くて、また指示をもらって。「この人、どれだけ入れても上がらないな」と首をかしげるだけで、隣にいるはずの犯人を疑ったことがなかった。Mgって、そもそも普段の採血セットに入っていないことも多いですから、視界の外にいるんですよね。
Mgが足りないと、Kは「ざる」になる
仕組みをざっくり言うと、こうです。Mgには、腎臓からKが漏れ出ていくのを抑える門番のような働きがあります。Mgが欠乏すると、この門番が不在になり、せっかく補充したKが尿へ漏れ続ける。
つまりMg欠乏のままK補充を続けるのは、栓を抜いたままの浴槽にお湯を足しているようなものです。まずMgという栓を戻さないと、いつまでも水位は上がりません。
「あれ?」と思うサイン
こんなときは、Mg欠乏が裏にいるかもしれません。
- Kをいくら補充しても上がってこない
- 心電図の変化が、補充してもなかなか改善しない
- 患者さんが「足がつる」と訴え続けている
とくに3つ目は、患者さん自身の言葉で拾えるサインです。「こむら返りがひどくて」という訴えを、疲れのせいと流さずに電解質と結びつけて考えられるかどうか。ベッドサイドにいる看護師だからこそ拾える情報だと思います。
看護師にできるのは「一言」
Mgを測るかどうか、補正するかどうかを決めるのは医師です。私たちにできるのは、「K、なかなか上がらないですね。Mgって測ってますか?」の一言。
たったこれだけですが、この一言が出るかどうかで、患者さんが「原因不明の難治性低K血症」のまま補充を受け続けるか、翌日には流れが変わるかが分かれることがあります。上がらないKを前に首をかしげたら、隣のMgを思い出してください。
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参考文献
- 電解質異常に関する標準的教科書における、Mg欠乏を伴う低K血症(治療抵抗性低K血症)の記載