今、ERで増えていると感じるのが「花粉食物アレルギー症候群」です。
特定の花粉症がある人が、特定の果物や野菜でアレルギー症状を出す。花粉のタンパク質と、果物のタンパク質の形がよく似ているために起こる、いわば「勘違い」の反応です。
花粉と食べ物の、意外な組み合わせ
やっかいなのは、自分の花粉症と食べ物が結びつくと思っていない人がほとんどだという点です。組み合わせにはある程度の傾向があります。
- シラカンバ・ハンノキ(春の花粉症) → リンゴ、桃、梨、さくらんぼ、キウイ
- イネ科(初夏〜夏) → メロン、スイカ、トマト、オレンジ
- ブタクサ(秋) → メロン、スイカ、バナナ、きゅうり
「花粉症はあるけど、果物でどうこうなったことはない」という人でも、体質や果物の熟し具合で、ある日ふっと症状が出はじめることがあります。
「喉がイガイガするな」が最初のサイン
この症候群の多くは、口や喉のかゆみ、イガイガ、ヒリヒリといった軽い症状から始まります。多くはそこで止まりますが、まれに喉の腫れや全身の反応にまで進むことがあります。
「喉がイガイガするな」と思ったら、それは体がSOSを出しているサインかもしれません。知らずに食べ続けて、ある日突然、喉が腫れて息苦しくなってから救急に来る——そういう順番になってしまうと、本人も家族も何が起きたのか分からず慌てます。
現場で聞くこと、渡すこと
救急外来で私たちができるのは、診断ではなく「つなぐための情報を集めること」です。何を食べたか、加熱していたか生だったか、花粉症の有無、症状が出るまでの時間。ここを医師に渡します。診断や検査、その後の指導は医師の領域です。
ただ、口のかゆみを訴える患者さんに「花粉症ありますか」と一言添えられるかどうか。そこが入り口になることがあります。軽い症状のうちに気づけば、次から避けられる。それを伝えられるのは、最初に話を聞く私たちの立ち位置かもしれません。
---
参考文献
- 花粉食物アレルギー症候群(PFAS)・口腔アレルギー症候群に関するアレルギー診療の標準的記載