「イケメン病」という呼び方、毎回モヤッとします。
救急に気胸で運ばれてくる若い子、たしかに細くて背が高い子が多い。だからそう呼ばれるのは分かります。でも、顔は1ミリも関係ないんです。
関係あるのは体型で、顔ではない
スラッと背の高い子は、肺も縦に細長くなりやすい。すると肺の表面に、ブラと呼ばれる小さな風船のようなふくらみができやすくなります。それが破れて空気が漏れ、肺がしぼんでいく。これが自然気胸です。
つまり、なりやすさに関わっているのは「高身長・痩せ型」という体の構造の話であって、イケメンかどうかは医学的にどうでもいい。ちなみに私は、構造上たぶん一生この病気にはなれません。そしてイケメンでもありません。二重の意味で対象外です。
若い人の「急な胸の痛みと息苦しさ」を軽く見ない
笑い話のように語られがちな病気ですが、現場では油断できません。若くて健康そうな人が、とくにきっかけもなく、
- 突然の片側の胸の痛み
- 息苦しさ、呼吸のしづらさ
を訴えたとき、その裏に気胸が隠れていることがあります。「若いから大丈夫」「元気そうだから様子見」で片づけると、しぼんだ肺がさらに悪化することもある。程度によっては、胸にたまった空気を抜く処置が必要になります。
もちろん、どこまでの処置が必要かを判断するのは医師です。私たちは、呼吸の左右差や苦しさの度合いを観察して、医師に正確に伝える。そこが仕事です。
呼び名より、体のサインを見てほしい
「イケメン病」というキャッチーな名前のせいで、病気そのものの怖さがぼやけてしまう気がして、私はどうも好きになれません。
覚えてほしいのは顔の話ではなく、「背が高くて痩せ型の若い人が、急に胸を痛がって息苦しそうにしていたら、気胸を疑う場面がある」ということ。名前は忘れていいので、こっちを覚えて帰ってください。
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参考文献
- 呼吸器・救急領域における自然気胸に関する標準的な成書の記載