「アイスでも食べて涼めば、熱中症予防になる」——その考え、半分はハズレなんです。
たしかに冷たいものは、一瞬で体を涼しくしてくれます。暑い日のアイス、最高ですよね。救急をやっていると、休憩のたびに食べたくなる。気持ちは痛いほどわかります。
「半分ハズレ」の中身
アイスで摂れるのは、ほとんど糖分だけです。汗と一緒に流れ出ていく塩分は、補えるほど入っていません。「涼しくなった」という感覚は本物でも、熱中症予防として体が欲しいものは、実はあまり入ってこない。ここが落とし穴です。
しかも冷たいものを一度にたくさん食べると、今度は胃腸が冷えて働きが鈍ります。胃腸が鈍ると、食欲が落ちる。食事が減ると、食事から摂るはずだった水分と塩分まで減る。そうして夏バテした体は、かえって熱中症になりやすい。涼むためのアイスが、めぐりめぐって逆方向に働くわけです。
アイスを禁止したいわけじゃない
誤解しないでほしいのですが、アイスを我慢しろという話ではありません。楽しみとしてのアイスは夏の正義です。私も食べます。
問題は、「アイス=熱中症対策」と置き換えてしまうこと。予防の主役はあくまで、水分と塩分をこまめに摂ること、そして食事をちゃんと食べることです。アイスはその上に乗せるご褒美であって、代わりにはなりません。
「食べられているか」を見る
熱中症予防というと飲み物の話ばかりになりがちですが、救急から見ていると、「ちゃんと食事が摂れているか」も同じくらい大事です。食事には水分も塩分も含まれていて、三食がそのまま熱中症対策になっている。夏に食欲が落ちてきたら、それ自体が黄色信号だと思ってください。
アイスがおいしい季節こそ、ごはんと味噌汁。地味な結論ですが、現場からはこれに尽きます。
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参考文献
- 熱中症の予防(水分・塩分補給)に関する救急領域の標準的教科書の記載