血糖の高い状態が続くと、目安として200〜250を超えるあたりから、菌を食べるはずの白血球の働きがだんだん鈍くなるといわれています。
これが、糖尿病の人が感染症で一気に崩れる理由のひとつです。
守りの主力が動けなくなる
白血球は、体に入ってきた菌を食べて処理してくれる、防御の主力部隊です。ところが血糖の高い状態が続くと、この白血球の働きが鈍くなる。菌に向かう、くっつく、食べる——その一連の動きが、どれも重くなるイメージです。
体の外から見ても、何も変わりません。本人の自覚もない。でも体の中では、守りの主力が動けなくなっている。攻め込む菌の側から見れば、これほど都合のいい状況はないわけです。
「足の小さい傷」から敗血症へ
救急にいると、ただの足の小さい傷だったはずの人が、数日で敗血症になって運ばれてくることがあります。本人は「ちょっと腫れただけ」と思っている。でも、守りが弱っているところに菌が入ると、健康な人なら抑え込める段階で抑えきれず、火が一気に燃え広がる。気づいたときには全身に回っている。
糖尿病の感染症が怖いのは、この「進みの速さ」です。入口は、いつも拍子抜けするほど小さい。
糖尿病の方と、そのご家族へ
- 足は毎日見てください。小さい傷、靴ずれ、水ぶくれ。「これくらい」が入口になります
- 傷の周りが赤い・腫れている・熱を持っている、あるいは発熱がある——どれかあれば、様子見せずに受診を
- そして、血糖のコントロールそのものが、いちばんの感染対策です
看護師の側から
糖尿病のある患者さんの「ちょっとした傷」や「なんとなくの発熱」は、軽く見ないようにしています。見た目が軽くても、防御が落ちている前提でバイタルと皮膚を見る。気になれば「糖尿病の既往があって、足にこういう傷があります」と早めに医師へ報告する。
地味な一言ですが、ここで数日後の展開が変わることがあります。
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参考文献
- 高血糖と易感染性(白血球機能低下)に関する救急領域の標準的教科書の記載