バーベキューで一番怖いのは、その場で当たることじゃないんです。3日後に来るやつです。
楽しく焼いて、飲んで、何事もなく解散して。忘れた頃にいきなりお腹を壊す。本人はもう原因が思い出せない。救急外来に来る食中毒、わりとこのパターンです。
なぜ「3日後」なのか
食中毒というと、食べた直後に吐いて下して、というイメージが強いと思います。実際そういうタイプの菌もいます。でも救急で出会う食中毒には、食べてから発症までに数日かかるものがあって、その代表格がバーベキューの鶏肉です。
数日たっているから、本人の中では「あの日の肉」と症状がつながっていません。「最近、生っぽいお肉を食べませんでしたか」と聞かれて、そこで初めて「そういえばバーベキューで……」となる。この時差が、このタイプの食中毒のいやらしいところです。
「ちょっとピンク」が普通に危険
特に気をつけてほしいのが鶏です。表面がしっかり焦げていても、中が生ならアウト。カンピロバクターという菌は、数百個というわずかな菌量でも発症するといわれていて、「ちょっとだけピンクだけど、まあいいか」が普通に危険な世界です。
炭火は火力にムラが出ます。外はいい色なのに中は冷たい、がバーベキューでは簡単に起きる。新人のころの私なら「焦げてるんだから大丈夫でしょ」と食べていたと思います。今は鶏だけは割って断面を確認する、ちょっと面倒な人間になりました。
現場からのお願い
- 鶏肉は割って、中まで色が変わっているか確認してから食べる
- 生肉を触ったトングや箸で、焼けた肉や野菜を取らない
- 数日後にお腹を壊したら、「何日か前に何を食べたか」まで思い出して、受診時に伝える
最後のひとつは、診る側にとって本当に大事な情報です。「3日前のバーベキューで鶏を食べました」の一言があるだけで、診療の進み方が変わります。楽しい記憶と一緒に、症状の手がかりも持ってきてください。
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参考文献
- カンピロバクター食中毒に関する公的機関の食品安全情報および救急看護領域の標準的教科書の記載