飛び出したヘルニアを、自分で押し戻すのはやめてほしいです。
そけいヘルニアやおなかのヘルニアが嵌まって戻らなくなったとき、つい手で押し込みたくなる気持ちは、よく分かります。ふだんは押せば引っ込んでいたものが戻らない。焦って、なんとか元に戻そうとする。その手が止まらなくなるのも、無理はないと思います。
外から触っても、中身は見えない
でも、外から触っただけでは、まだ血が通っているのか、もう腸が締めつけられて壊れかけているのか、誰にも判断できません。
そこが一番こわいところです。飛び出した腸が、脱出した出口でぎゅっと締められて血流が止まりかけていることがある。無理に押し戻すと、壊れかけた腸をおなかの中に押し込んでしまう可能性がある。表面はいつもどおりに見えても、中で何が起きているかは、外からでは分からないんです。
こういうときは、押さずに受診を
素人判断で「戻ればセーフ」ではありません。次のようなサインがあれば、押し戻そうとせず受診してください。
- いつもは戻るふくらみが、今日は押しても戻らない
- そのふくらみが硬い、色が変わってきた、押すと強く痛む
- 吐き気や嘔吐、おなかの張りをともなう
戻るか戻らないかは医師が診て判断すること。中の腸が無事かどうかを確かめる検査も、そこから先の治療も、医師の領域です。私たちにできるのは、「触らずに来てください」とお伝えすることまでです。
「戻す」より「そのまま来る」
一番安全なのは、無理に押さず、そのままの状態で来てもらうことです。手を加えないほうが、診るほうも状態を正確につかめます。
こわいのは痛みそのものより、「戻ったから大丈夫」と時間を置いてしまうこと。ふくらみが戻らなくなったら、それは体が出している、けっこう急ぎのサインです。
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参考文献
- 外科領域における嵌頓ヘルニア・絞扼性腸閉塞に関する標準的な成書の記載