去年の6月、熱中症で救急搬送されたのは全国で1万7,229人。6月の数字としては、過去最多でした。
正直、ERにいると「まだ6月だろ」と笑っていた人が、その日のうちに搬送されてきます。夏本番だと思っていた感覚のほうが、少し前倒しになっているのかもしれません。
「まだ6月」で、体がついてこない
6月が危ないのは、暑さそのものより、体がまだ暑さに慣れていないからだと言われます。汗をかいて体温を逃がす仕組みが、夏モードに切り替わりきっていない時期に、急に気温や湿度が上がる。そこに「まだ6月だから大丈夫」という油断が重なります。
真夏なら誰もが警戒することが、6月だとスルーされる。この「季節の油断」と「体の準備不足」が重なるところに、搬送のピークが前倒しでやってくるのだと思います。
本人が、いちばん気づいていない
熱中症で運ばれてくる人の多くは、自分が熱中症だとは気づいていません。
「水は飲んでた」と言う。聞くと、一日に二回。「クーラーは体に悪い」と言う。でも室温は32度。本人のなかでは、ちゃんと対策しているつもりなんです。そのズレに、外からは気づけない。そして気づいたころには、もう自分では救急車も呼べなくなっている。
だからこそ、周りの一声が効きます。責めるのではなく、「暑くない?」「水それだけ?」と、季節が早いうちから声をかけておくこと。これが、6月の搬送を一人でも減らす現実的な手だと思っています。
早い注意喚起が、いちばん効く
重症の見分け方も、冷やし方も大事です。でも6月に関しては、それ以前の「まだ大丈夫、という気持ちを早めに手放す」ことが、いちばん効く予防だと感じています。
数字が過去最多を更新したのは、たまたまではなく、季節が前倒しになっているサインかもしれない。夏が来てからではなく、来る前から。「まだ6月」と笑っていた人が運ばれてくる現場から、早めの一声をお願いしたいです。
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参考文献
- 消防庁「熱中症による救急搬送人員」の月別集計(6月の搬送人員1万7,229人)