おじいちゃん、おばあちゃんが「今日はなんだか元気がない」「ずっと寝ている」。これ、実は「命に関わる大病」のサインかもしれません。
高齢者は、教科書どおりに痛がらない
高齢になると、こういうことが本当によくあります。
- 心筋梗塞なのに、胸が痛くない
- 肺炎なのに、熱が出ない
- 腹膜炎なのに、お腹が痛くない
若い人なら胸を押さえてうずくまるような病気が、高齢の方では「食欲がない」「なんとなくだるそう」「一日中うとうとしている」という、拍子抜けするほど地味な姿で現れることがあるんです。
加齢とともに、痛みを感じる力も、熱を出す力も弱くなります。体が病気に対して大きな反応を起こせなくなる。つまり症状が軽いのではなく、症状を出す力が弱いだけ。中で起きていることの重さは変わりません。
「痛くないなら大丈夫」は、高齢者には通用しない
救急外来にいると、「昨日から元気がないだけなんですけど、念のため」と連れて来られたおじいちゃんの検査結果に、スタッフ全員の顔色が変わる瞬間があります。ご家族の「念のため」が命を拾う場面を、何度も見てきました。
逆に、「痛がってないから」「熱もないから」と数日様子を見てしまって、かなり進んだ状態で運ばれてくる方もいます。責められる話ではまったくなくて、「痛くないなら大丈夫」という感覚は、若い体では正しいんです。ただ、高齢の体には通用しない。ここを知っているかどうかの差だと思います。
いちばん強い情報は「いつもと違う」
では何を目印にすればいいか。私は「いつもとの差」だと思っています。
いつもは新聞を読むのに、今日は開きもしない。いつもは完食するのに、箸が進まない。毎日会っている家族にしか分からない、この小さな違和感が、検査の数字より先に異変を教えてくれることがあります。
私たち看護師も、ご家族の「なんか変なんです」という言葉は、うまく説明できていなくても重く受け取るように教わってきました。だからどうか、「こんな曖昧な理由で受診していいのかな」とためらわないでください。その曖昧さこそが、高齢者の大病の出方そのものなんです。
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参考文献
- 救急医学・老年医学領域の標準的教科書における高齢者の非典型的症状(無痛性心筋梗塞・発熱を欠く肺炎等)の記載