ECPRって言葉、知っていますか。
胸骨圧迫をしても、電気ショックをかけても心臓が動かない。そんな「打つ手なし」に見える心停止の人に、太い管を血管に入れて、機械に血を回してもらう蘇生法です。
ECMOが、心臓と肺の代わりをする
この「機械」が、コロナのときに耳にした人もいるECMOです。心臓と肺の代わりを、一時的にまるごと引き受けてくれる。止まってしまった心臓の代わりに、機械が全身へ血を送り続けてくれるわけです。
名前だけ聞くと「最後の切り札」「これさえあれば助かる」みたいに聞こえます。実際、装置が回り始めて、モニターに波形が戻ってくる瞬間は、何度立ち会っても独特の緊張感があります。
でも、現場の感覚はちょっと違う
万能の魔法ではないんです。
そもそも誰にでも回せるわけではありません。倒れてから時間が経ちすぎていないか、もともとの体力はどうか、原因は機械でつなぐ間に手を打てるものか。適応をどう判断するかは医師の領域ですが、条件がそろわなければ、装置を回しても状況が変わらないことは珍しくない。
そして、つなぐこと自体がゴールでもない。太い管を入れる、大量の血液を体の外で回す。それだけで、出血や感染など、体には相応の負担がかかります。ここからが本当のスタートで、心臓が自分の力を取り戻すまで、チーム全員で支え続けることになります。
準備の速さが、看護師にできること
だからこそ、装置を回すと決まってから物品がそろうまでの時間を、私は一秒でも削りたい。回路、清潔野、輸血、記録係。何がどこにあって、誰が何をするか。それを普段から体に入れておくことが、目の前の一人の予後に地味に効いてくると思っています。
切り札という言葉は、少し格好よすぎる。私にとっては、全員で必死に食らいつくための、重たい機械です。
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参考文献
- 救急・集中治療領域の標準的教科書におけるECPR(体外循環式心肺蘇生)とVA-ECMOの適応に関する記載
- JRC蘇生ガイドラインにおけるECPRの位置づけ