「とりあえず腎血流のためにドパミン低流量でいこうか」——まだそんな指示、聞くことはありませんか。
かつて「腎用量(renal dose)」と呼ばれた、ドパミンの低用量使用。尿を出したい、腎臓を守りたい。その意図でルーチンに使われていた時代が、たしかにありました。
腎保護の効果は、今は否定されている
でも、この「腎保護」という効果は、今でははっきり否定されています。低用量のドパミンを流したところで、腎臓を守れるわけでも、腎不全を防げるわけでもない。尿量が一時的に増えて見えても、それは腎機能が改善したのとは別の話だ、というのが現在の理解です。
それどころか、ドパミンにはノルアドレナリンと比べて不整脈が起こりやすいこと、心原性ショックの場面ではむしろ予後が悪かったというデータも報告されています。「よかれと思って」の一手が、体には裏目に出うる。
使いどころは、ずいぶん狭くなった
では出番がまったくないかというと、そうでもなくて。一時的な徐脈への対応など、限られた場面では今も選択肢に挙がります。ただ、「なんとなく腎臓のために」で流す薬ではなくなった、ということです。
何を、どのくらい使うかを決めるのは医師です。看護師にできるのは、指示を受けたときに「これはどういう意図の一手だろう」と頭の中で一度立ち止まること。そして不整脈や心拍数の変化を、いち早く拾って報告することだと思っています。
「あれ?」と思える看護師でいたい
正直に言うと、私も昔の慣習をそのまま正しいと思い込んでいた時期があります。先輩がやっているから、ずっとそうしてきたから。それで疑わずに手が動いていた。
古いおじさんと呼ばれたくないので、知識はこまめに入れ替えたい。指示に「あれ? これって今もそうだっけ」と引っかかれる看護師でありたいと思っています。その引っかかりを、そっと医師に確認できる関係も含めて。
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参考文献
- 救急・集中治療領域の標準的教科書における低用量ドパミン(腎用量)の評価
- ショックにおける昇圧剤選択に関する各種ガイドラインおよび臨床研究