ER看護師なら、カーテンを開けた瞬間に「あ、これDKAだ」って察する瞬間、ありますよね。
あの独特な、甘酸っぱい、リンゴが腐ったような臭い。そして、必死に空気を吸い込もうとする深く大きな呼吸。バイタルを測る前に、五感で「やばい」と感じるあの感覚です。
新人のころの私は、この臭いも呼吸も、ただの「体調が悪い人」の景色として素通りしていました。意味を知ってからは、部屋に入った瞬間の情報量がまるで変わりました。
臭いと呼吸は、体からのサイン
糖尿病ケトアシドーシス(DKA)では、糖をうまく使えない体が脂肪を燃やしてしのごうとします。その燃えかすがケトン体で、あの甘酸っぱい臭いのもとになります。呼気に混じって出てくるので、部屋を開けた瞬間に鼻が先に気づくわけです。
もうひとつが、深くて大きい特徴的な呼吸です。体が酸性に傾いているのを、二酸化炭素を吐き出すことで必死に戻そうとしている姿です。「呼吸が苦しそう」ではなく「呼吸で体を中和しようとしている」——そう捉えると、あの荒い息づかいの見え方が変わります。
見た印象を、そのまま言葉にして残す
診断はもちろん医師の仕事です。ただ、第一印象を持てるかどうかで動き出しの速さが変わります。
- 呼気の臭い(甘酸っぱい、果物が腐ったような)
- 呼吸の深さと回数(浅く速い、ではなく深く大きい)
- 皮膚や口の乾き、ぐったり感、意識のぼんやり
こうした「見た・嗅いだ・感じた」を、印象のまま医師に伝えます。血糖やガスの結果が出そろう前でも、「甘酸っぱい臭いがして、呼吸が深いです」の一言が、次の検査や指示につながります。
覚悟が決まると、準備が早くなる
「あ、これインスリンの持続投与と、こまめな血糖測定、それに厳密な水分の管理が始まるやつだ」——そう覚悟が決まる、あの空気感。何回経験しても慣れません。
でも、その覚悟が早いほど、モニターの準備も、ルートの用意も、記録の構えも早くなります。五感でつかんだ違和感は、根拠のない勘ではなく、体が出しているサインを拾っているということ。だからこそ、素通りせずに言葉にして残したいんです。
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参考文献
- 救急・集中治療領域の標準的教科書における糖尿病ケトアシドーシス(DKA)およびクスマウル呼吸の記載