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接遇・仕事術 体験談 2026-03-22

「CVが抜けました」——あの瞬間、現場の体温が下がる

#CVカテーテル#事故抜去#空気塞栓#医療安全

「CVが抜けました……」

この報告を受けたときの主治医の顔、一生忘れられません。

CV(中心静脈カテーテル)の自己抜去や事故抜去は、「よくあるインシデント」の顔をしていますが、実際には患者さんの命を危険にさらしうる重大事故です。なぜそこまで言うのか。抜けた穴から、空気が心臓に向かって入りうるからです。

怖いのは出血より空気

中心静脈は心臓のすぐ手前にある太い血管です。ここにカテーテルの通り道が開いたまま患者さんが息を吸うと、胸の中が陰圧になった瞬間、その穴から空気が血管内に吸い込まれることがあります。空気塞栓です。まとまった空気が心臓に入ったら、一発でアウトになりうる。

だからCVが抜けたときの初動は、出血対応だけでは足りません。

抜けたら「左側臥位・頭低位」で医師を呼ぶ

もしCVが抜けているのを見つけたら、迷わずこの体位です。

  • 刺入部をすぐ密閉するように押さえる
  • 左側臥位・頭低位にする
  • その場を離れず、人を呼んで医師に報告する

左を下にして頭を低くするのは、万一入ってしまった空気を心臓の出口から遠ざけるための体位です。「抜けちゃったので消毒してテープ貼っておきました」で済ませていい事象ではない、ということだけでも覚えて帰ってください。

事故は「テープが少し浮いてるな」から始まる

そして本題はむしろ予防です。CVの事故抜去は、ある日突然起きるように見えて、だいたい前日から始まっています。テープが少し浮いている。固定の糸が緩んでいる。ルートが引っ張られる位置にある。「まあ、次の処置のときでいいか」——その小さな妥協の先に、再挿入という患者さんへの余計な苦痛と、膨大なインシデントレポートが待っています。

私自身、あの「現場の体温が下がる」瞬間を一度知ってからは、CVの固定を見る目が変わりました。ラウンドで刺入部を見るとき、テープの端まで見る。浮いていたらその場で貼り替える。地味ですが、あの数秒が重大事故との分かれ目だと思っています。

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参考文献

  • 医療安全・中心静脈カテーテル管理に関する標準的教科書における、事故抜去時の対応(刺入部の密閉・体位)と空気塞栓の記載
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