Hb(ヘモグロビン)だけ見て「貧血だね」で終わっていませんか。それ、アセスメントの入り口で止まっています。
偉そうに書いていますが、新人のころの私がまさにこれでした。採血結果が出たら、Hbの値だけ確認して「低いです」と報告する。数字を読み上げているだけで、アセスメントをした気になっていたんです。
Hbが教えてくれるのは「貧血があるかどうか」まで。でも本当に知りたいのは、その先の「なぜ貧血なのか」のはずです。
貧血の「中身」を見る2つの指標
救急の現場でも使う、赤血球の中身を見抜く指標がこれです。
- MCV(赤血球の大きさ):80〜100が標準
- MCHC(赤血球の濃さ):32〜36g/dLが標準
同じ「Hbが低い」でも、赤血球が小さくて薄いのか、大きさは普通なのか、むしろ大きいのか。それによって、体の中で起きていることの見当がまったく変わってきます。小さければ材料が足りていない系、大きければ作る工程に問題がある系。ざっくり言えば、そういう絞り込みの入り口になる。
原因を確定するのは医師の仕事です。ただ、この2つを見てから報告するのとそうでないのとでは、報告の質が変わります。
報告が一段深くなる
「Hbが低いです」だけの報告と、「Hbが低くて、MCVも小さめです」の報告。受け取る医師の頭の動き方が違います。後者は、次にどのデータを見るか、何を疑うかの初動につながる情報だからです。
採血データが出た瞬間に、HbとセットでMCV・MCHCをチェックする。かかる時間は数秒です。この数秒の習慣があるだけで、「数字を伝える人」から「アセスメントを添えられる人」に変わる。
検査値は、1個ずつ眺めるものではなく、組み合わせて読むもの。貧血はその練習台としていちばん手頃な入り口だと思っています。明日の採血から、Hbの隣の2項目に目を落としてみてください。
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参考文献
- 臨床検査・血液学領域の標準的教科書における、赤血球恒数(MCV・MCHC)と貧血の分類に関する記載