新人時代の私は、「先生、次は何をすればいいですか?」と、指示を待つことしかできませんでした。
言われたことは頑張ってやる。でも、言われるまでは動けない。医師の口が次の指示を出すのを、いつも半歩後ろで待っている感じでした。それが当時の自分の精一杯でした。
「顔を見た瞬間」に手が動くまで
看護師14年目になった今は、少し変わりました。
搬送されてくる患者さんの顔色を見た瞬間に、「あ、これショックっぽいな」と察する。そして医師が到着する前に、手が先に動いています。
- 太めのルートを2本、用意しておく
- 救急カートを近くへ寄せておく
- リーダー看護師へ応援を要請しておく
医師が処置室に入ってきたとき、「準備できてます。どうぞ」と言える。この一言が言えるようになった自分に、少しだけ驚いています。
「先回り」は、当てずっぽうではない
勘違いされたくないのですが、これは「勝手に判断して先走る」こととは違います。診断も、治療の指示も、あくまで医師のものです。私がやっているのは、起こりうる展開をいくつか想定して、どれになっても動き出せる準備を先にしておくこと。観察して、予測して、整えておく。踏み込んでいるのは、そこまでです。
だから外れることもあります。ショックだと思って準備したけれど、そこまでではなかった。それでいいんです。準備は、使わなければ片づければいい。でも「なかった」ときのほうが、後悔は小さい。
面白さは「半歩前」にあった
この先回りができるようになったとき、ER看護師としての面白さを初めて知った気がします。
指示を待っていたころは、仕事がずっと「受け身」でした。半歩前に立てるようになると、同じ現場がまるで違って見える。患者さんの小さな変化が、次の展開の手がかりに見えてくる。
新人さんに伝えたいのは、最初は指示待ちで当たり前だということです。私も長いことそうでした。観察を積み重ねているうちに、点だった情報が線になる日が来ます。焦らなくていい。その線が見えたとき、この仕事はぐっと面白くなります。
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参考文献
- 救急看護における予測的観察・先行的準備(アンティシペーション)の考え方に関する救急看護領域の教科書的記載