「CRP30もある!敗血症に注意して!」という看護師に、伝えたいことがあります。
CRPが高いと、たしかにギョッとします。でも本当に肝が冷えるのは、逆のパターンです。CRPが1なのに、乳酸値が4を超えている——あの「嵐の前の静けさ」のような敗血症のほうです。
CRPは、後から追いかけてくる数字
CRPは炎症が起きてから上がるまでに、少し時間がかかります。だから発症したばかりの重症感染では、まだ数字が小さいことがある。「CRP低いから大丈夫そう」で通り過ぎてしまうと、その裏で状態は進んでいきます。
たとえば胆管炎。胆道の内圧が上がれば、菌は一瞬で血中に回ります。炎症反応がのんびり上がってくるのを待っている間に、患者さんはショックに向かっていく。CRPが「まだ1」の時間帯こそ、いちばん危ういことがあるわけです。
見るべきは「炎症」ではなく「臓器障害」
では何を見るか。炎症の数字ではなく、臓器が悲鳴を上げていないかを見ます。
乳酸値が上がっているのは、体の細胞が酸素不足に陥っているサインとされています。それに加えて、意識がなんとなくおかしい、尿が出ていない、呼吸が速い、血圧が普段より低い。こういう「臓器が困っている兆候」は、CRPを待たずに出ます。
- 意識:いつもよりぼんやりしていないか
- 呼吸:回数が増えていないか
- 尿量:減っていないか
- 血圧・脈:普段の値から外れていないか
データを見るなら、炎症の数字だけで安心しない。臓器障害のサインを拾いにいく。そこが分かれ道だと思っています。
数字の低さに、だまされない
検査値の解釈も、治療をどう進めるかも、決めるのは医師です。私たち看護師にできるのは、「CRPは低いですが、乳酸が高くて呼吸も速いです」と、気づいたことをそのまま医師に渡すこと。
数字が低いことは、安全の証明ではありません。静かなときほど、目の前の患者さんそのものを見る。CRPだけを見て安心しかけた昔の自分に、いちばん言いたいことです。
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参考文献
- 敗血症診療における乳酸値・臓器障害評価(qSOFA/SOFA)の位置づけに関する標準的記載
- 急性胆管炎の急速な菌血症進展に関する救急・感染症領域の教科書的記載