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循環器 体験談 2026-05-19

肋骨が折れる音がしても、胸骨圧迫の手を止めない理由

#胸骨圧迫#CPR#肋骨骨折#心停止

胸骨圧迫で「肋骨が折れる音がする」と聞いて、躊躇する人は多いと思います。でも、現場の感覚として伝えたい。あれは、ちゃんと押せている証拠でもあるんです。

「折れるくらい強く」が、そもそもの設計

成人の胸骨圧迫は、胸が5〜6cm沈むくらい強く押す必要があります。5cmって、想像よりずっと深いです。ペットボトルのキャップを縦に2個重ねたより、まだ深い。

そのくらい沈めないと、止まった心臓から血液を押し出せません。そして人間の胸郭は、そこまで沈めることを想定した造りにはなっていない。特に高齢の方では骨も軟骨ももろくなっているので、肋骨や軟骨が折れることは珍しくないんです。

つまり「正しい強さで押すと、折れることがある」。これは失敗ではなく、正しい圧迫に最初から織り込まれている話です。

折れない優しさは、優しさにならない

心臓が止まっている人にとって、「折れない優しい圧迫」と「折れるくらい強い圧迫」のどちらが優しいか。答えは後者です。

浅い圧迫では、脳に血液が届きません。骨は治ります。でも、血流が途絶えた脳は戻らない。だから私たちは、あの感触があっても手を止めません。強く、速く、絶え間なく。それが脳と心臓を守ってくれます。

新人のころの私は、正直、あの感触が怖かったです。頭では分かっていても、手がすくむ。何度か経験して、「これは押せている音だ」と自分に言い聞かせられるようになって、やっと圧迫の深さが安定しました。あの怖さを乗り越える瞬間は、たぶんこの仕事のひとつの関門です。

一般の方へ。ためらった圧迫がいちばんもったいない

もし街中で心停止の場面に居合わせて、胸骨圧迫をすることになったら。「骨を折ったらどうしよう」と手加減するのが、いちばんもったいないです。

折れることを怖がって浅くなった圧迫は、その人を救えません。体重を乗せて、しっかり押してください。ミシッという感触があっても、続けてください。責められることを心配する場面ではなくて、あなたの圧迫だけが命綱の場面です。

折れた骨は、助かったあとで治せばいい。

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参考文献

  • 救急蘇生領域の標準的な講習・教科書における胸骨圧迫の深さ(成人5〜6cm)とCPRに伴う骨折の記載
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