猫好きの方にこそ、読んでほしい話です。救急外来の看護師が「犬」より「猫」の咬み傷を警戒する理由を知っていますか。
傷口が小さくて「可愛いもの」に見える猫の牙。実は医学的には、最強の「汚染注射器」なんです。
小さい傷ほど、深く刺さる
犬の咬み傷は、力が強いぶん傷が大きく、裂けるような形になりがちです。派手に見えるので、みなさんちゃんと病院に来ます。
猫の牙は細くて鋭い。表面の傷は「点」にしか見えないのに、菌を深いところまで注射のように送り込みます。しかも入口が小さいからすぐ塞がって、菌が中に閉じ込められる。「汚染注射器」という呼び方は、比喩として大げさではありません。
ざっくり言うと、こうです。
- 猫の咬み傷は、犬よりずっと感染しやすい(感染率が犬の数倍という報告もあります)
- 時間が経つほど感染リスクは上がる。だから「早く洗って、早く受診」
- 原因菌の代表であるパスツレラ菌は、早ければ数時間で腫れはじめることがある
「指が動かなくなる」まである
特に怖いのが、手を咬まれた場合です。手は皮膚のすぐ下に腱や関節があって、細い牙はそこまで簡単に届きます。腱の周りに感染が及ぶと、最悪、指が動かなくなることもある。「猫に咬まれただけ」の結末としては、あまりに重すぎます。
咬まれたら、やること
- すぐに流水でしっかり洗う
- 傷が小さくても、その日のうちに受診する。特に手を咬まれたときは迷わない
- 「もう腫れてきた」なら、それはパスツレラ菌のスピード感。急いでください
猫に罪はありません。悪いのは牙の形と菌であって、猫ではない。だからこそ、咬まれた側の人間が正しく怖がって、早く動く。それが、猫と長く暮らし続けるための生存戦略です。
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参考文献
- 動物咬傷(猫咬傷・パスツレラ感染症)に関する救急領域の標準的教科書の記載