問題
「pH正常だから大丈夫です!」——ERでその報告を聞くと、正直、肝が冷えることがあります。
血ガスのクイズを1問。次の結果を見て、「本当のヤバさ」が分かりますか。
- pH 7.40(正常範囲)
- PaCO2 30(低い)
- HCO3- 18(低い)
選択肢
A:pHが正常範囲におさまっている。バランスが取れているので、ひとまず落ち着いている
数字の真ん中に来ているのだから、危ない状態ではない、という読み方です。
B:pHは正常でも、その裏で異常が隠れている。むしろ急変の一歩手前かもしれない
真ん中の数字を、体が必死に作り出している可能性を疑う読み方です。
答えを見る
Bです。
pHだけを見ると正常範囲におさまっています。でも、その両脇の数字が、二つとも正常から外れています。HCO3-が低い。これは体に酸がたまっている(代謝性アシドーシス寄り)ことを示します。そしてPaCO2も低い。これは、たまった酸をなんとか打ち消そうとして、体が呼吸を速くしてCO2を吐き出している——つまり必死に代償している姿だと読めます。
言い換えると、この人のpHは「もともと安定している正常値」ではなく、「肩で息をして、なんとか正常に踏みとどまっている正常値」かもしれない、ということです。踏ん張りがきいているうちは数字がきれいに見えます。でも患者さんが疲れて、その速い呼吸を維持できなくなった瞬間に、pHは一気に崩れます。「正常範囲内じゃん」で通り過ぎると、この急変サインを見逃します。
なぜ酸がたまっているのか、その原因が何かを突き止め、治療方針を決めるのは医師です。私たち看護師にできるのは、pHの数字だけで安心せず、「pHは正常ですが、呼吸が速くて、HCO3もCO2も低めです」と、気づいたことをそのまま医師に伝えること。
血ガスは、pHから読み始めて、pHで安心してはいけない。真ん中がきれいなときほど、その両脇を見る。そう教わって以来、報告の仕方が変わりました。
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参考文献
- 血液ガス・酸塩基平衡の解釈(代謝性アシドーシスと呼吸性代償)に関する救急・集中治療領域の標準的教科書の記載