「血ガス、難しすぎて…」
そんな時期が私にもありました。基準値の暗記カードばかり増えて、肝心の結果が出るとフリーズするタイプの新人でした。ERで数千件の血ガスを見て気付いたのは、順番を決めて読めば9割の病態は見抜ける、ということです。
ひとつ、復習クイズを。
pH 7.25 / PaCO2 60 / HCO3- 26
この患者さんに何が起きているか、10秒で答えられますか。
ステップは4つ。順番は変えない
血ガスが難しく感じるのは、目に入った数字から手当たり次第に読むからです。見る順番を固定してしまえば、迷子になりません。
1. pH:7.40より低いか高いか。まず酸性側かアルカリ側か、それだけ決める 2. PaCO2:呼吸で説明がつくか。CO₂は体にとって酸なので、たまれば酸性に傾く 3. HCO3-:代謝で説明がつくか。こちらはアルカリ側の担当 4. つじつま:残ったほうが、傾きを打ち消す方向に動いているか(代償)
この4つを、必ずこの順で。途中を飛ばしたくなっても、飛ばさない。
さっきの答え
pHは7.25。7.40より低いので、酸性に傾いています(アシデミア)。
PaCO2は60と高い。酸であるCO₂がたまっているので、この傾きは呼吸で説明がつきます。HCO3-は26で正常範囲。代謝はまだ動いていません。
つまり、呼吸性のアシドーシス。しかも打ち消す側の反応がまだ入っていないので、急に起きた可能性がある。ここまで読めれば十分です。
数字の先にいるのは患者さん
「呼吸性で、急かもしれない」と読めた瞬間にやることは、データを眺め続けることではなくて、患者さんのところへ行くことです。呼吸は浅くないか、数は減っていないか、ウトウトし始めていないか。見たものをそのまま医師に報告する。
血ガスは犯人当てクイズではなく、いま体で何が起きているかを教えてくれる地図です。地図が読めたら、歩き出す。順番さえ守れば、血ガスは怖くありません。
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参考文献
- 救急医学・臨床検査領域の標準的教科書における血液ガス分析の読み方(酸塩基平衡)の記載