意識障害の患者さんが来たら、私はまず頭の中で【AIUEOTIPS】を並べます。
「意識がない=脳の問題」と思い込むと、そこで思考が止まってしまう。でも意識障害の原因は、脳の外にもごろごろ転がっています。だから、原因を漏らさないための「型」が要る。それがこの語呂です。
AIUEOTIPS の中身
- A:Alcohol(アルコール)
- I:Insulin(低血糖・高血糖)
- U:Uremia(尿毒症)
- E:Endocrine / Encephalopathy(内分泌/脳症)
- O:Opiates / Oxygen(薬物/酸素欠乏)
- T:Trauma / Temperature / Tumor(外傷/体温/腫瘍)
- I:Infection(感染症)
- P:Psychogenic(精神疾患)
- S:Stroke / Seizure / Shock(脳卒中/痙攣/ショック)
読み方は「あいうえお、チップス」。声に出して何度か口ずさむと、不思議とすっと入ってきます。
なぜ「型」で覚えるのか
意識がない人を目の前にすると、頭が真っ白になります。新人のころの私はまさにそうで、「脳卒中かな」でいっぱいになって、血糖も測らずに慌てていました。
でも思い出してほしいのは、原因のかなりの部分が、脳の外にあるということ。低血糖や低酸素、感染症、体温の異常。これらは、気づいて対応すれば戻せるものが多い。逆に、脳のことばかり考えていると、足元の低血糖を見落とします。だから最初に「型」で全体を見渡してから、絞り込んでいく。
看護師にできるのは、材料をそろえること
もちろん、どの原因かを診断して治療を決めるのは医師です。私たちがやるのは、その判断の材料を先回りしてそろえること。
血糖は測ったか。体温は。酸素は足りているか。お酒や薬のにおい、内服の情報。外傷の跡はないか。AIUEOTIPS を上からなぞると、「まだ確認できていないもの」が自然に浮かび上がります。この語呂は、慌てている自分を立て直すための手すりだと思っています。
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参考文献
- 救急看護領域の標準的教科書における意識障害の鑑別(AIUEOTIPS)の記載