「バイタルは正常なのに、なぜか嫌な予感がする…」
その直感を言語化するのが、ERのABCDEアセスメントです。急変対応の優先順位そのものでもあるので、1分で復習していきます。
- A(気道):声は出る?喘鳴は?
- B(呼吸):呼吸数、見てる?(私的に最重要)
- C(循環):橈骨動脈は触れる?皮膚は冷たくない?
- D(意識):GCS/JCSは?瞳孔不同はない?
- E(露出):体温は?外傷やじんましんは隠れていない?
順番そのものが、優先順位
このリストのいいところは、上から順に「先に崩れると命に直結する順」で並んでいることです。気道が通っていなければ呼吸は評価できないし、呼吸が保てていなければ循環の話になりません。
だから評価も、対応も、上から。Aで引っかかったら、Bに進む前にまずAをなんとかする(人を呼ぶ、報告する)。「全部見てから考える」ではなく「上から見て、引っかかったところで止まる」。この割り切りが、急変の場で頭が真っ白にならないための命綱になります。
私的に最重要なのは、呼吸数
Bの呼吸数を推す理由は単純で、バイタルの中でいちばん飛ばされがちだからです。モニターの呼吸数は正確に拾えていないことも多く、結局は自分の目で胸の動きを数えるしかない。地味です。でも、体が無理を始めたときの変化を、私は呼吸数で拾えた経験が何度もあります。
もうひとつはCの皮膚。数字ではなく、触った感触です。冷たい、湿っている、じっとり。実際に触れて肌で感じてみるのが一番早い。機械が教えてくれない情報は、手で取りに行きます。
「何か変」を「どこが変」に
直感は、けっこう当たります。ただ「なんか変なんです」だけでは、報告を受けた医師も動きようがありません。
ABCDEを上からなぞると、「呼吸数が増えてきていて、皮膚が冷たく湿っています」まで言えるようになる。この一文が出た瞬間、報告は「気のせいかも」から「今すぐ診るべき情報」に変わります。ABCDEは、直感を伝わる言葉に翻訳するための道具です。
明日からの一歩目は、まず呼吸数と皮膚から。道具は目と手だけです。
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参考文献
- 救急看護領域の標準的教科書におけるABCDEアプローチ(初期評価)の記載