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外傷 体験談 2026-06-01

救急で怖いのは「血圧がまだ下がっていない人」

#ショック#出血#代償機転#バイタルサイン

救急で怖いのは「血圧が下がってきた人」じゃなくて、「血圧がまだ下がっていない人」のことがあります。

体の水分は、血管の外のほうがずっと多い

体の水分って、実は血管の中より外(組織)のほうにずっと多いんです。血管の中を流れている血液はおよそ5L。でも体全体の水分の多くは血管の外にあって、いざというときに血管の中へ移されて、血圧を支えようとします。

で、出血や脱水で血管の中の量が減ると、体は外側の水を血管の中へ移して、血圧をなんとか保とうとする。これが体の代償です。人間の体は、血圧という数字を最後の最後まで守りにくる設計になっています。

「血圧が正常」と「大丈夫」は別の話

この仕組みを知ると、モニターの見え方が変わります。

血圧が保たれているのは、「失った量が少ないから」ではなく、「体が総力戦で補填しているから」かもしれない。つまり正常な血圧の裏で、予備の水をどんどん取り崩している最中かもしれないんです。貯金を切り崩して家計を回している状態と同じで、通帳の残高(血圧)が動かないうちは、外から見ると平穏に見えます。

そして予備が尽きたとき、血圧は坂を転げるように落ちます。「さっきまで普通だったのに」という急変の正体が、これだったりします。

血圧より先に動くサインを見る

だから私たちは、血圧の数字そのものより「代償が始まっているサイン」を探します。

脈が速くなっていないか。皮膚が冷たく、じっとり湿っていないか。顔色が白っぽくないか。トイレ(尿量)が減っていないか。なんとなく落ち着きがない、そわそわしている。こういう変化は、血圧が落ちるより先に出てきます。

新人のころの私は、血圧の数字が正常範囲なら安心して次の仕事に行っていました。今は逆です。出血や脱水の背景がある人の「血圧は正常、でも脈が速くて手が冷たい」は、いちばん背中が冷えるバイタルのひとつ。医師に報告するのも、このタイミングです。数字が崩れてからでは、報告ではなく急変対応になってしまうので。

血圧は、最後まで嘘をつき続けて、最後に一気に本当のことを言う数字です。

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参考文献

  • 救急看護領域の標準的教科書における体液分布とショックの代償機転の記載
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